• マスクの使い分け

    Choose the right mask for each task

サージカルマスク vs
プロシージャーマスクの概念

手術用サージカルマスク

サージカル=英語で「手術用」の意味。
長時間の使用でも耳の後ろが痛くならない。
術野への落下防止。

AORNによる推奨
以下の理由から手術室では紐タイプを着用することを推奨
(AORN 2016 Guidelines for Perloperative Practiceより)
  • ・頬とマスクの間に隙間ができづらい
  • ・外すときにマスク本体にふれる危険性が少ない
  • ※AORN:米国コロラド州デンバーに拠点を置く米国周術期看護師協会
処置用プロシージャー
マスク

プロシージャ=英語で「処置用」の意味。

処置用アイソレーションマスク

アイソレーション=英語で「隔離用」の意味。

素早く装着できるため、下記の用途で使われることが多い。
  • ・病棟などにおける短時間での簡易的な処置
  • ・咳エチケット

医療用マスクのバリア性

日本には医療用マスクに関する性能規格が存在しません。
メドラインのマスクは、米国ASTM International(米国試験材料協会)が定めるASTM F2100-11に基づいて性能の試験をしています。

ドレープやガウン同様、想定される血液の量に応じてマスクも使い分けを!

試験項目 数値の見方
BFE(細菌ろ過効率)
ブドウ球菌(約3μm)をマスクに通し測定
≧95% ≧98% ≧98% 高い=ろ過効率が高い
PFE(微粒子ろ過効率)
ポリスチレン粒子(0.1μm)をマスクに通し測定
≧95% ≧98% ≧98% 高い=ろ過効率が高い
FR(液体防護性)
血圧に相当する圧力をかけた人工血液をマスクに
噴射し、マスク内側への浸透の有無を確認
80㎜Hg 120㎜Hg 160㎜Hg 高い=液体防護性が高い
Delta P(通気性) <4.0mmH₂O/㎠ <5.0mmH₂O/㎠ <5.0mmH₂O/㎠ 低い=通気性がよい
燃焼性 Class 1 Class 1 Class 1 -

マスクのバリアレベルの
見分け方

「今使っているマスクのバリアレベルはどの程度?」
「どこを見たらわかるの?」
気になったらまずは包装箱を確認してみましょう。
ASTM F2100-11 に基づいて試験をしているマスクなら、
レベルが箱に記載されています。

ご存知
ですか?
やってしまいがちな
NG例



やってはいけないこと やるべきこと




ばってん結び

頬とマスクの間に隙間が出来やすくなる。

隙間をつくらない

鼻周りをしっかり
フィットさせる








鼻だしマスク

あごマスク

マスクの役割をはたしていない

ポケットマスク

肘マスク

マスクの放置

きれいに見えても、
使用済みのマスクは
気付かないうちに
汚染されているかも。

一処置一患者ごとに交換する

外したマスクはすぐに捨てる

血液や体液に
マスクが汚染されたら、すぐ交換する





マスク本体に
触れる

外側に体液などが付着している可能性がある。
内側にも菌が付着しています!

紐を持って捨てる

マスクを外した後に
手指衛生を徹底する

紐を持って捨てる

マスクを外した後に
手指衛生を徹底する

マスクの着脱手順と注意点

手術用 サージカルマスク

  • ・紐タイプ
  • ・外すときに手が顔にふれづらい(交差感染リスク低)
推奨シーン:多量の出血をともなう手術や処置など
    • ノーズピースを
      中央で曲げます。

      上方の紐を頭頂部で
      結びます。

      ノーズピースをしっかりと顔に押し当て、マスクと顔の間に隙間ができないようにします。

      マスクのプリーツを
      アゴの下までしっかり
      伸ばします。

      下方の紐を水平に
      首の後ろで結びます。

    • 下方の紐をほどき、
      次に上方の紐を
      ほどきます。

      マスクの両面にふれない
      ように紐部分を持って
      外します。

      マスクの両面に
      触れないように
      ゴミ箱に捨てます。

      最後に手指を
      洗浄・消毒します。

処置用 プロシージャマスク

  • ・イヤーループ(耳かけ)タイプ
  • ・液体防護性があるものは救急、中央材料室の使用にもおすすめ
推奨シーン:手術室以外で液体の飛散が想定される現場
    • ノーズピースを
      中央で曲げます。

      イヤーループを
      耳にかけます。

      ノーズピースをしっかりと
      顔に押し当て、マスクと
      顔の間に隙間ができないよう
      にします。

      マスクのプリーツを
      アゴの下までしっかり伸ばします。

    • 頭を少し前に傾けながら、
      マスクの両面に触れない
      ようにイヤーループを
      外します。

      マスクの両面にふれない
      ようにイヤーループを
      持ったままゴミ箱に
      捨てます。

      最後に手指を
      洗浄・消毒します。